東京高等裁判所 昭和27年(ナ)17号 判決
原告 服部宣明 外二名
被告 大野市郎
一、主 文
原告らの請求を棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
二、事 実
原告らは「昭和二十七年十月一日に施行された衆議院議員選挙新潟県第三選挙区における選挙においての被告の当選を無効とする訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求めその請求の原因として、昭和二十七年十月一日に施行された衆議院議員選挙において、原告らは新潟県第三選挙区における選挙人であり、被告は同年十月四日開かれた選挙会で同選挙区において衆議院議員に当選したものと定められ、即日当選決定の告示があつたものであるが、右選挙区における右選挙運動に関する支出金額の制限は三十三万四千百円と定められていたに拘らず、被告は昭和二十七年十月十五日に被告の右選挙運動に関する支出として届け出た二十一万七千五百五十七円の外に、右選挙告示の後に選挙人に対する買収供応費として合計三百六十万円(内訳六日町地区警察署管内において七十万円、小千谷地区警察署管内百六十万円、長岡市、同地区警察署管内において百三十万円)を支出し、これを高野五三二外多数に交付して選挙人を買収又は供応したもので、被告の実際に支出した選挙運動に関する支出は、前記支出制限額を超過しているから、公職選挙法第百九十八条により被告の当選は無効である、よつて同法第二百十条により本訴請求に及んだと述べた。
被告代理人は、原告らの請求を棄却するとの判決を求め、本訴は昭和二十八年三月十四日の衆議院の解散によつてその目的を失つたものであると述べた。
三、理 由
原告らはその主張するように新潟県第三選挙区における選挙人として、昭和二十七年十月一日施行の右選挙区における衆議院議員選挙においての被告の当選を無効とする判決を求めるものであるところ、昭和二十八年三月十四日衆議院は解散せられ(このことは公知の事実である)、これによつて被告に関する右選挙における当選の効力は将来に向つて失われたものである。従つて原告らは被告の当選無効の判決を求める法律上の利益を失つたものというべきであるから、本訴請求はこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。
(裁判官 大江保直 岡咲恕一 猪俣幸一)